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平均340.6千円、中央値296.6千円——44千円の差はどこから来るか

賃金の報道はほぼ常に平均値を使います。しかし原典には中央値も分位数も載っている。平均だけを見ると、日本の賃金像を14.8%ほど高く見誤ります。

最終更新:2026年7月12日 / 出典:

ANSWER

令和7(2025)年の一般労働者の所定内給与額は、平均340.6千円に対し中央値296.6千円。差は44.0千円で、平均は中央値の約1.15倍にあたります。賃金分布は右に裾を引くため、少数の高所得者が平均を押し上げます。結果として過半数の労働者は平均を下回ります。

男女計296.6340.6大企業328.6385.1小企業278.5305.6 中央値 平均
金=中央値、墨=平均(千円/月)。棒の長さが「平均が分布からずれる量」。大企業ほど長い=内部のばらつきが大きい。
区分平均値中央値差平均 ÷ 中央値
男女計340.6296.6−44.01.148
男性373.4325.8−47.61.146
女性285.9260.3−25.61.098
大企業(男女計)385.1328.6−56.51.172
中企業(男女計)326.2288.4−37.81.131
小企業(男女計)305.6278.5−27.11.097

単位:千円/月(所定内給与額)。差と比は本サイトによる算出。

計算方法平均値・中央値はいずれも令和7年概況 付表3からの直接転記です。「差」は中央値 − 平均値、「平均 ÷ 中央値」は単純除算。本サイトの計算はこの2つのみで、推定・按分は行っていません。

読み解き:差の大きさ自体が、情報である

注目すべきは差の存在ではなく、差の大きさが区分によって違うことです。

大企業では平均と中央値が56.5千円離れます。小企業では27.1千円しか離れない。差が2倍以上ある。

これが意味するのは——大企業のほうが、内部のばらつきが大きいということです。厚労省が公表する十分位分散係数も、大企業0.64・中企業0.51・小企業0.45と、これを裏づけます。

区分下位10%中央値上位10%上位10% ÷ 下位10%十分位分散係数
大企業211.1328.6632.02.99 倍0.64
中企業198.3288.4494.82.50 倍0.51
小企業192.2278.5444.72.31 倍0.45

単位:千円/月(男女計)。「上位10%÷下位10%」は本サイトによる算出。分散係数は原典の公表値。

大企業の上位10%は632.0千円。下位10%は211.1千円。同じ「大企業」の中に、3倍の開きがある。小企業では2.31倍にとどまります。

「大企業に入れば高い」は、平均の話です。分布で見ると、正確には——大企業は当たり外れの幅が広い。期待値は高いが、分散も大きい。

この差が生む、実務上の誤り

賃金の議論で「日本の平均は340.6千円」が出発点になると、次の2つの誤りが起きます。

よくある質問

Q. 日本の月給の中央値はいくらですか?

令和7(2025)年の一般労働者の所定内給与額の中央値(中位数)は296.6千円です。平均値340.6千円より44.0千円低くなります。

Q. 平均年収と中央値、どちらを見るべきですか?

自分の位置を知るには中央値と分位数です。平均値は少数の高所得者に引き上げられるため、過半数の人が平均を下回ります。ただし国全体の賃金総額の動きを見るには平均値が適します。目的によって使い分けるべきものです。

Q. なぜ平均値ばかり報道されるのですか?

厚生労働省の報道発表資料が平均値を見出しに置いているためと考えられます。中央値と分位数は概況の統計表(付表3)に掲載されていますが、報道発表の要点には含まれていません。

免責 — 本サイトは公的統計を整理・可視化する情報サイトであり、個別の賃金・処遇・転職・労務に関する助言を行うものではありません。掲載する数値は集団の統計であって、特定の個人や企業の賃金の妥当性を判定するものではありません。 賃金は「所定内給与額」であり、残業代・賞与を含みません。年収ではありません。

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REPORT 01
厚労省・令和7年賃金構造基本統計調査
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